Web文章上達ハンドブック―良いテキストを書くための30ヵ条
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森屋 義男
日本エディタースクール出版部
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意外とこういう本って少ないのではないかと思います。Webを含めた、あらゆるメディアにおける執筆活動は、
- ディレクター
- ライター
- エディター
という3種の人手が必要であるというところから本文は始まります(それにデザイナーが加わってWebサイト全体がようやく完成する)。ライティング《原稿を書く行為》に焦点を当てたノウハウ本は(玉石混交に)多数出版されているものの、編集《ライターが書いた文章の選別作業》をする立場の人が何を考えるべきかということはあまり注目されていないように思います。もちろん、本書のような大衆向けの書籍では、ということですが。本書はすべての工程を網羅的に解説しており、主に編集の重要性を説いています。
編集の技術は長らく出版社の中で培われ、それで誰も困らなかったのでしょう。しかし今は違います。多くのブログ著者にとって、ネタ探し、執筆、編集はすべて自分ひとりでこなさなければならないタスクだからです。この線引きをきちんと意識していなければいい作品はできあがらない。そして、編集がもっとも重要である。本当にそうだと思います。編集は文章発表への最後の砦なのです。
近年の技術の発展とインターネットの大衆化に伴い、オンラインの文章は紙のメディアと遜色のないほどのレベルまで上がってきたように思います。それに伴い読み手の目もどんどん肥えてきているということが想像されます。
心無いインターネット利用者、心ある読者家は、ブログやSNSはインターネットを悪文で埋め尽くしてしまうものであるとおっしゃるかもしれません。確かにそういうった傾向はあるのかもしれませんが(その一例がこのブログなのですが……)、正しい文章作成の技術が情報発信者である大衆に伝わっていなかった点に、ひとつの問題を見出すことができるのではないかと、この本を読んで考えさせられました。私たちは私たちが企画し、発信する文章についてもう少し考えをめぐらさなければいけないのです。
私たちが発信する情報は限りなく無価値に等しいものですが、そこに価値を見出す人は世の中に実は沢山います。それは、最近の crowdsourcing ブームが物語っているでしょう。価値ある情報を輝かせるために、この本を一度手にとってみてください。書かれてある技術的な内容は多くありません。多くの記述は抽象的に過ぎるのかもしれません。しかしながら、多くのアマチュア著者に執筆のあり方を考えさせるだけの力を、この本は備えています。
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