2009/05/25

本2冊 と 1匹

くまちゃん頭のいい人が使うモノの言い方・話し方―ちょっとした話し方のコツが相手に与える印象を大きく変える (日文新書 21)



● 角田光代 『くまちゃん』

振られる恋愛をテーマにした短編小説集。物語は、あいまいさは残しつつも、「別れを切り出す側」と「別れを切り出される側」の二分法で展開していく。それぞれの物語が少しずつ重なり、仕事と恋愛に関するさまざまな人間模様が描かれる。特にそれらに「失敗」した人間の心理的な変化にスポットがあてられている。

まったくもって種々雑多な恋愛を集めた短編集というのではなくて、『恋心≒他人に対する敬意や憧れ』 というのが基底をなす通念として横たわっているが、これは作者の恋愛感の表れだろうか。おおざっぱに言うと、最初の方の物語では明確な線引きができたものの、だんだん振る側と振られる側の間の境界が薄れていき、美しい恋愛思想があらわになってくる。最後にはこのようにきれいにまとめる:

ふったのでもふられたのでもなく、二人で手放したのだとこずえは自分も頭を下げてから思った。必要でいるということを、守りきることができなかった。




● 神岡真司 『頭のいい人が使うモノの言い方・話し方』

なんでこんな本買ったんだろう。まったくもって不思議でなりませんが、面白かったです。話の前半部分は、シチュエーション毎の定型表現が集められているだけなので、まったく面白くありません。面白いのは、ところどころ散りばめられているコラムと、後半部分にある心理学的にみて有効な話し方の項です。なんでこんなにトーンが違うんだろうと思ってしまうくらいに、生き生きとした内容になっています。それもそのはず、著者は心理学をご専門にされているそうで、心理学研究に基づくビジネストークといったことはお手の物のようです。マーケティングの理論を勉強したことがある人にとってはもしかすると当たり前のことばかりなのかもしれませんが、僕にはためになりました。ビジネスに疎い方はためしに読んでみてもいいかもしれません。立ち読みでも充分読めます(こんなこと書いていいのかな)




1匹ってのはうそです




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