永遠の出口 (集英社文庫(日本))
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森 絵都
集英社 (2006/02/17)
売り上げランキング: 37511
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我々は人生の様々な場面で,様々な形の出会いと別れを繰り返す.中でも,作者は小学生から高校までの時代を選んだ.別れが一生背負なければならない十字架のように感じられる時代だ.それでも少しずつ重荷は軽くなっていく.年を経るにつれ,別れの形も変わっていくのだ.これは,大人になった証であり,少し哀しい現実である.
そんな10代の激動を描く筆力を,森絵都は惜しげもなく見せ付けてくれる.子供と大人の間,その微妙で曖昧な時代を,こうも鮮明に描く彼女はどんな人なんだろう.作品を超えて,森絵都その人をもっと知りたくなった.
特に,気に入った表現を引用します(文庫版第4刷,p.111)
『それから長い年月が流れて、私たちがもっと大きくなり、分刻みにころころと変わる自分たちの機嫌にふりまわされることもなくなった頃、別れとはこんなにもさびしいだけじゃなく、もっと抑制のきいた、加工された虚しさや切なさにすりかわっていた。どんなにつらい別れでもいつかは乗りきれるとわかっている虚しさ。決して忘れないと約束した相手もいつかは忘れると知っている切なさ。多くの別離を経るごとに、人はその瞬間よりもむしろ遠い未来を見据えて別れを痛むようになる。』
胸を打った.
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