2008/02/04

重松清 「流星ワゴン」 (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)
重松 清
講談社
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重松清の物語はいつも物悲しい.現代の家族を憂いているからだろうか.家族の絆に希望の光を投じようとしている.そして,それが強く胸に迫る.この本は掛け値なしの名作だ.

親父の背中が小さく見えるようになったころ,親父に対する反発心がなくなった.きっと,子供というのは親のようになりたくはないと思う一方で,親に対して対抗心を燃やしているんだろう.陳腐な言葉だが,憧れといったものに通じるのかもしれない.弱いところは見せたくない.負けたくない.親は親で,子供に苦労を見せられない.憧れでなければならない.厳しくなければならない.私は親になっていないのでよくわからないが,おそらくそう考えているんだろう.

だからこそ,親と子の関係は頑強なようで,実はもろい.後悔ばかりが積み重なっていく.子は親に追いつくことができないから.親は子の前で本音を話せないから...誰もが背負い続ける数々の後悔.後悔しても仕方がないという現実.それでもそこから抜け出せないというジレンマ.

人生の流れを変えるきっかけは,至るところに転がっている.でもどれがそれなのかはわからないから,とりあえず,動き出すことから始めなければいけない.

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

まったくもって同感。自分の中で言葉にしたい気持ちを全部くらげが書いてくれた(笑)

それでも人は、家族のぬくもりを求め続けて生きていくんだろうね。

kunida

くらげ さんのコメント...

おお。こんな古い投稿にコメントを残してくれてありがとう。。
この本はいいですよね