1973年のピンボール (講談社文庫)
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村上 春樹
講談社 (2004/11)
売り上げランキング: 5872
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何も始まってない.しかしもうすべてが終わってしまった.
往々にして始まりはよく見えないものだ.そして,終わり方には異常なほどこだわる.身の回りにそんなおかしなことばかりが積み重なって,僕らの人生を作り出している.
終わりといえば,1969~73年はそういう時期だったのだろう.学生運動を経験していない(僕を含めた)若い世代には,村上春樹が感じた学生時代の虚無感に安易に共感することはできないのだろうが,その時代の空気をありありと感じることができる.
小説から何を感じ取るかというのはあくまでも読み手の問題だろう.しかし,この本の描く孤独は,多くの人が経験したものだと思えてならない.それは,生が生であることの証ともいえる「何か」だから.
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