村上春樹の短編はとても難しい.解釈がどうとか,そんな小難しい話ではなく,読んだ後に自分の中に何が残ったのか,それを見つけるのが難しい.テンポよく物語が展開し,クライマックスまでは順調に進む.どうなるだろうかと考えていると,いっきに目くらましをくらう.そんな気分にさせられます.
そんな,不思議な作品ばかりなんですが,その内の一編「我らの時代のフォークロア――高度資本主義前史」は,村上作品のよさが詰まってます.登場人物と語り手の微妙な距離感,妙にさめた語り.世界全部を小馬鹿にしているようで,それでもくだらない世界をしぶしぶ受け入れているような...現代人の感覚って,きっとこんなんだよね.低温で,起伏が乏しくて,ざらざらしてる.この作品はいいなぁ.
TVピープル (文春文庫)
posted with amazlet on 07.11.14
村上 春樹
文藝春秋 (1993/05)
売り上げランキング: 101471
文藝春秋 (1993/05)
売り上げランキング: 101471
0 件のコメント:
コメントを投稿