2010/12/06

「武士の家計簿」を観ました

森田芳光監督の映画.この時代劇には殺陣の派手さもなければ,絢爛豪華な衣装もない.刀ではなく算盤で幕末の不安定な時代を生き抜いた加賀藩御算用者猪山家の物語.武家の日常が垣間見えるよいお話でした

武家というのは,いくら安月給でも,武家なりの体面というやつが大事なようです.お祝い事などは豪華にしなければならない.屋敷をきらびやかに飾り立てることで繁栄を誇示することが重要だったんでしょうか.そんなこんなで当然ながら火の車になった猪山家は,直之の指示で家財道具の一切を売り払います.武士の体面より一家の存続を選ぶ.ご立派.

頑なな直之の思いは家族にすこしずつ理解されていきますが,細かい金勘定にまでうるさいため家族の反発も受けてしまいます.算盤を武器に妻と共に家族を守り,慎ましいながらも豊かな生活を送ろうと奮闘する姿は,息子成之の成長と葛藤という形で,みごとに描かれています.

個人的に興味深かったのは,おばあさん(名前忘れた)が大切にしていた品を名残惜しそうに売りに出す姿.それが,蒐集している(と誰かが言っていた)茶器一式ではなく,塵劫記だったこと.一族の,算術に対する敬意がよく表された名場面でした.

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