ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)
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レイモンド・チャンドラー
早川書房
売り上げランキング: 21567
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Raymond Chandler, "The Long Goodbye" の村上訳。村上春樹さんが影響された作品のひとつであると挙げている本のうちのひとつ。僕は文学少年でも読書家でもないので、恥ずかしながら未読。とりあえず、村上訳で読んでみた。
ときとしてセリフの切れ味がないといわれているようですが、僕はこれが初体験なので十分にハードボイルドな世界を楽しめました。翻訳の良さというのは何をもって基準化されているのかさっぱりわかりませんが、一冊の日本語の作品として非常に愉しかったです。僕はゆっくりと細切れに読むタイプの読書を好みますが、この本は久しぶりに没頭することができました。あくまで個人的な問題ですが。。
読み始めた当初、面倒はご免こうむりたいといった風情だったので、登場人物のフィリップ・マーロウという男は村上作品を特徴付けるある種のデタッチメントを帯びた人物なのかと思っていました。「仕方がないからやってやろう」的な態度で事件に向かう冷めた私立探偵なのかと。実は人情に厚く、友情を大事にする人間でした。いきなり肩透かしを食らって予想と少し違った展開を見せていく訳ですが、そもそもチャンドラーもハードボイルドもよく知らぬままに読んでいたので、頭をリセットしなければなりませんでした。つまりは、村上春樹という色眼鏡を取っ払う必要がありました。
物語は、ある資産家の令嬢の惨殺事件をきっかけに、資産家とギャングと警察組織の間での駆け引きが描かれます。事件を封じ込めようとするそれぞれの思惑の中で、マーロウは殺人の嫌疑をかけられ自殺した令嬢の夫テリー・レノックスのために動き出し、事件はさらなる展開を見せます。
I suppose it's a bit too early for a gimlet.
作中でテリー(マーロウではなく)が『ギムレットには早すぎる』という超有名なセリフを吐きます。作品を読まずにこれを聞いたとき、なんのこっちゃと思ってた訳ですが、小説を読んで納得。きっと本を読んでない人の想像力のたまものだ。この名台詞はきっと正しいシチュエーションでは使えない。確かにセリフだけはかっこいいんですが・・・
ギムレットは、ご存知のようにジンとライムジュースをシェイクしたカクテルですが(当時もシェイクされてたかは僕には分かりませんけど)、これはマーロウとテリーの絆の象徴みたいなもので、物語で重要な役割を担っています。テリー自身は夕方の早い時間にバーでこのカクテルを飲むのを好んでおり、幾度かかようなシーンがあらわれます。久々に再開した二人、テリーは友情の証としてギムレットでも飲みたいと思ったのでしょうか。でも、時間は午前中。そりゃ早いよね・・・。強いお酒ですから。そこで、上のセリフを言います。確かに、ドラマチックで素晴らしいシーン。でも前後関係を取っ払うと全く意味が分からない。
なぜ、ここまで有名でドラマチックなセリフに成長したのか。謎です。
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