2009/02/08

ひどく感動した

犬のしっぽを撫でながら (集英社文庫)
小川 洋子
集英社
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小川洋子さんのエッセイ.ひさしぶりに引用なぞしてみる


『作家もまた、真理を追い求めている点では数学者と同じなのだが、彼らと違って、言葉では永遠の真理を表現できないと承知した上で、それでもなお悪戦苦闘しているのだ。言葉にできないほどの哀しみを、言葉で表現しようとしている。』(p.26)





曖昧模糊として,言葉では表現しつくせない感情や思いにとらわれて,表現力の未熟さに溜息をつくことがたびたびある.本を読んでいると,自分では発見できなかった表現に(ときどきだけれど)偶然出くわして,深く感動し,頭が下がる思いがする.そうか,こういう風に表現することができるのか,と.

読書の喜びのひとつは,新しい表現との出会いだと思う.無限の言葉の組み合わせの中から,無限×無限の複雑さをもつ感情を表すために最高の言葉を選び出す.読書は奇跡を目撃する行為であり,作家は奇跡を起こす仕事なんだと思う






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